血管外科(さいたま市立病院)のホームページ

下肢静脈瘤とは
   ・下肢静脈瘤の症状
   ・下肢静脈瘤の原因
   ・下肢静脈瘤の病態
   ・下肢静脈瘤の検査
   ・下肢静脈瘤の分類

・下肢静脈瘤の治療方法

・当院のストリッピング手術

・硬化療法

下肢静脈瘤 Q&A 

下肢静脈瘤とは  静脈瘤の症状・原因・病態・分類

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤は下肢(あし)に青筋(静脈)が浮き出す病気です。                    心臓から送り出された血液は動脈を通って足先まで流れます。そして、足で使われた血液は静脈を通って心臓にもどります。ところが、下肢静脈瘤の状態では一部の静脈で血液が足に逆流して戻ってしまいます。                                                    このため下肢静脈瘤では

・むくむ  ・静脈が張って痛い   ・足がつる   ・足がだるい ・足の湿疹が直らない        ・色素沈着や潰瘍ができる  

など、足がうっ血することによるいろいろな症状が出ます。また、静脈瘤の部分が赤く固いしこりになることがあります。これは、血栓性静脈炎という状態です。この状態で外来を受診される方も多くいらっしゃいます。                                                  下肢静脈瘤では血液が停滞するので、血栓(血液が固まること)ができて炎症を起こすことがあり、これを血栓性静脈炎といいます。この血栓が肺に飛んで重症な肺塞栓になることは、可能性がゼロではありませんが極めてまれです

血栓性静脈瘤を起こした下肢の写真
(血栓性静脈炎を起こした状態)

この血栓性静脈炎の状態では、
・静脈瘤に沿って赤くなる
・静脈瘤が硬くなる
・静脈瘤が強く痛む
などの症状が出ます。この場合は炎症を起こしている場所を氷などで冷やすと数日で痛みが軽減します。その後、静脈内の血栓はしこりとして残りますが、数か月かけて少しずつ吸収されて小さくなり最終的には消失します。
下肢静脈瘤の硬化療法では、この血栓性静脈炎と似た状態を硬化剤で人工的に作ることになります。
しかし硬化療法の時には、血栓がの量が少なくなるように工夫をしています。

下肢静脈瘤の原因

正常な状態の静脈弁の機能の図 足の静脈には血液は、弁があるので立った状態でも重力に
逆らって上の方向にだけ一方通行で流れます。
静脈瘤における逆流の状態を示した図 妊娠・出産、立ち仕事などによりあしの静脈の弁に負担がかかると静脈の弁が壊れてしまいます。
弁が壊れると立った状態では静脈は逆流してしまいます。そのため下流の静脈には圧がかかり、静脈は太くなり蛇行するようになり静脈瘤ができてしまいます。

実際の下肢静脈弁の様子(動画)  
下肢静脈瘤の病態
 下肢には深部静脈(下図、下肢の中央)と表面にある表在静脈があります。深部静脈は下水道の本管にあたり、無数にある表在の枝からの血液が流れ込みます。そして、正常な状態では、深部静脈も表在静脈も逆流防止弁のはたらきにより上方に向かって一方通行で流れます。(下図 左) しかし、静脈瘤の状態では、一部の表在静脈の弁が壊れて逆流してしまいます。表在静脈はたくさんありますが、そのなかでも弁が壊れて静脈瘤の原因となりやすい静脈が大伏在静脈(内側のくるぶし→ふくらはぎの内側→太ももの内側→あしの付け根)と小伏在静脈(かかと→ふくらはぎの中央→膝裏)です。
下肢静脈瘤では、にあたる伏在静脈の弁が壊れ逆流が始まると、その伏在静脈は太くなり蛇行します。さらに逆流した血液は幹から枝の静脈へも逆流し流れ込みます。すると枝の静脈も太くなりくねくねと蛇行し静脈瘤となります。
 幹の伏在静脈は、皮膚の下のやや深い所を通っているので体の表面からはあまり見えませんが、その枝は皮膚のすぐ下の浅いところを走行しているので表面からよく見えます。
 ふくらはぎにくねくねした静脈が目立って見えるのは多くの場合、この枝の部分です。
 ふくらはぎだけに静脈瘤が目立っている場合でも、多くの場合、問題はその枝だけではなくて、外からは見えないである伏在静脈の逆流から来ている場合が多いのです。
 したがって、治療はだけではなく幹と枝の両方に対して行わなければなりません。

正常な状態での下肢静の流れ 静脈瘤における静脈の逆流伏在静脈、伏在神経の図
   正常な状態            下肢静脈瘤           下肢の静脈
下肢静脈瘤の検査
ドップラー検査
外来ですぐにできる簡便な検査です。静脈に逆流があるかどうかを調べます。
立った状態で静脈にドップラーと呼ばれる機械を当てます。そしてふくらはぎを圧迫したあと、ぱっと手を離します。逆流がなければ何も音がしませんが、逆流があると「ザー」という音がします。
ドップラー検査の動画ドップラー検査の動画


下肢静脈瘤の術前検査は超音波検査や静脈造影を行っています。
静脈瘤の下肢静脈造影写真 
左は下肢静脈瘤の静脈造影写真です。赤い矢印のように、大伏在静脈が逆流し、膝下では枝に流れ込んで枝が太くなっています。

このように、伏在静脈が逆流している状態では、立った状態になると心臓に帰る血液の一部が足に逆戻りしてしまいます。
そのため足はうっ血してむくんだり、つったり、痛くなったりします。

最新のCTを使用して、造影剤を使用しないでも下肢静脈瘤の検査が可能になりました。体への負担は少なく、このように下肢静脈瘤の状態を鮮明に描出できます。


うっ血がひどくなると皮膚炎を起こしてかゆくなったり、皮膚の黒ずみ(色素沈着)、潰瘍形成を起こすことがあります。
     鬱血性皮膚炎、色素沈着、潰瘍の写真         うっ滞性皮膚炎の写真2


     
           うっ滞性皮膚炎による色素沈着、潰瘍
下肢静脈瘤の分類
(1)伏在静脈型の静脈瘤
最も多いタイプの静脈瘤です。
弁が壊れた表面の静脈が拡張、蛇行しています。
足の付け根から逆流する大伏在静脈、膝の裏から逆流する小伏在静脈などの幹の部分と表面の枝の部分からできています    
大伏在静脈型の静脈瘤

大伏在静脈型の静脈瘤にマーキングをした写真
         大伏在静脈の逆流がある場合
小伏在静脈型の静脈瘤小伏在静脈型の静脈瘤にマーキングをしたところの写真
        小伏在静脈の逆流がある場合
    治療は幹と枝の両方に行います
(2)分枝型の静脈瘤
 幹の部分の逆流がなく枝だけに逆流があるタイプです。               分枝型静脈瘤の写真枝型静脈瘤の写真2
     治療は硬化療法のみ
     あるいは、追加で皮膚を数mm切開して,
     逆流の吹き出し口にあたる血管を結紮(糸でしばる)します。
(3)網目状の静脈瘤
    治療は硬化療法のみで可能です
(4)クモの巣状の静脈瘤
 さらに細い静脈瘤です。
          くもの巣状静脈瘤の写真
     治療は硬化療法のみで可能です

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